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First action

まず行動

古倉恵子と自分②

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12:30

 

後ろを振り返ると、70代の夫婦が入ってきた。

これで店内は5人になった。

 

3分前にマスターは店から出て行き、外でなにやら電話をしている様だ。

店内に入った夫婦がマスターがいないことを察知し、僕に話しかけてきた。

 

「あれ?主人は?」

「外にいるみたいです。電話をしている様ですが...」

 

「あれー?外にいなかったけどなぁ」

「え、本当ですか? どこに行ったんでしょうね」

 

なんて、何気ない会話を交わす。

 

「カレーを食べに来たんだよなぁ」

「僕もです!」

 

ここのカレーはとても美味しい。

 

すると、奥様が、

「もう召し上がられたのですか?」と、耳にすーっとはいってくる言葉で僕に問いかける。

 

こんな綺麗な言葉を聞いたのはいつぶりだろう...

「いいえ、まだ食べてないんです」

 

そう僕が答えたとき、マスターが大きなダンンボールを抱えて帰ってきた。

 

客を待たせてしまった!!と、マスターは申し訳なさそうにキッチンに戻る。

 

ご夫婦よりも先にカレーを注文する。

手にとった本の内容は3ページくらい話が入ってきていない。

慌ててページを戻す。

「なんて人生を合理的に考えている女性なんだ。」

大胸筋のあたりが一瞬熱くなったのを僕はしっかりと感じた。

 

 

小学生の頃、クラスの男子が喧嘩をしていた。

他のクラスメイトが喧嘩を止めようとするがなかなか治らない。

ある友達が古倉恵子に「お願い、喧嘩を止めて」と泣きつく。

恵子はクルっと反対を向き体育倉庫へ歩き始める。

体育倉庫にあるスコップを1つ手に取ると喧嘩をしている

男子たちの方へ向かってダッシュをしながら大きく振りかぶり、

顔面にバコーンと殴りつけたのである。

 

殴られた男子はドサッと音を立てながら倒れる。

場は静寂に包まれた。

 

恵子が職員室に呼ばれる。

「なぜあんな事をしたのか?」と、問いただされると、

「喧嘩を止める一番早い方法を選びました」

 

子どもながら思考回路が脱線している様に思われる。

 

それからも奇妙な行動を起こす恵子は、世間から

あっち側の世界の人間として扱われていく。

 

親や妹からもカウンセリングを勧められ、

社会人として生活をしていくことは難しいと思われてきた。

恵子は36歳であり、未だに独身。

一度も就職をしていない。

 

ただ、恵子がなんとなく始めたアルバイトが今後の人生を変えていく。

それはコンビニのアルバイトである。

ひたすら働き、18年間もコンビニのアルバイトを続ける。

「アルバイト」「独身」「男性経験なし」これが、

そっちの世界では普通ではないらしい。

 

疑問を抱きながらも、アルバイトと続ける。

そっちの世界の住民は店長の愚痴や客の愚痴、同僚の愚痴など、

妬みを共有すること、意見を合わせると住民として迎え入れてくれるらしい。

 

・・・

 

・・・

 

・・・

 

タッタッタッタと古民家をリノベーションした綺麗な床が軽快なリズムを奏でる。

「あ、カレーがくる」

本に集中しているフリをしているが、注文したものが届けられたときの為に、

「あ、ありがとうございます。頂きます」を準備していた。

たったの1行も内容が入ってこない...

足音はどんどん近づいてくる。

 

「お待たせしました」

と、テーブルに置かれたのはカレーとあのアイスコーヒーだった。

 

 

・・・・・・・

 

・・・・・・・

 

今回、僕が気になって手に取った本のタイトルは、

コンビニ人間

 主人公:古倉恵子

コンビニ人間 (文春e-book)

コンビニ人間 (文春e-book)